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2024/04/23

バレンタインリターンズ


本日昼休みに先輩がドスフロギィと戯れていて、すごく羨ましかった…
どうしよう買おうかなあ とタイミングを逸していますこんばんは。

えーにゃんにゃんにゃんの日を華麗にスルーしたところでバレンタインです。
今が一番今更なタイミングですね!
なんでかというとE缶の時に無料配布いたしましたバナマジ豆本の回収なので、
そのときはほぼジャストだったのです。だから今更なのです…

※注意※
 ・あたまがわるそうなのはいつも通りですが、ど甘いです
 ・今更季節感注意

キングは初めて書いたんじゃなかろうかそう言えば。

いつも拍手ありがとうございます!



「そういえば、返礼はしたのかい」
 ふと尋ねられて、バーナーマンは不審面で上司を見返した。藪睨みと言っていいほどの不遜な視線を、キングは鷹揚に受け止めて、ほら、と手を持ち上げる。
「去年貰ったんだろう。随分と騒いでいたじゃないか」
「なんだっけ」
「チョコレート」
「ああ」
 何だってそんな古い話を持ち出してきたのかと考えれば、もう一度カレンダーが同じ日付を指そうとしているからだ。
 チョコレート。
 正確には、チョコレートフレーバーの調整固形エネルギーのことだ。バレンタインとかいう、人間のお祭りで、もっと限定すると、極東島国の製菓会社の陰謀によって、チョコレートの贈答行事があるのだという。
 そもそものクダリはさっぱりバーナーマンの頭には残っていないが、取り敢えず、愛の告白の証拠として必ず持参せねばならぬもの、とパイレーツマンは言っていた。
 去年、詳細は省くがバーナーマンはマジックマンからチョコレートを貰った。
 その時点ではそうでなかったが、その後色々とあって、バーナーマンはマジックマンと「おつきあい」をしている。その色々の中に、あまり、というかまるで、甘いやりとりをしたような覚えはないのだが。
 さて件のチョコレートと言えば、無論、贈答品は共々大変美味しく頂きました、が、返礼とは何のことだろうかとバーナーマンはキングを見る。
「バレンタインの一ヶ月後には、ホワイトデーというのがあるらしいね」
「知らねえ」
「あーあ」
 キッパリと斬り捨てたバーナーマンの反応に、キングがあからさまに笑いを含んだ落胆の声を上げた。
 その揶揄する響きに、メンテナンス室を退出しかかっていたバーナーマンは足を止め、キングを振り返る。
「なんだよ」
「かわいそうに」
「あァ?」
 ヤクザのような返答で、キングに話の続きを促すと、キングは朗らかな笑顔を向けた。
「君はマジックを振ったんだよバーナー」
「振ってねェよ!」
「愛の告白の証であるチョコレートを受け取ったからかな。なるほど……」
 衝撃の答えを即否定したバーナーマンに頷いて見せるものの、キングは依然として一枚含んだような笑顔を掃いたままだ。勿体付けるような口ぶりに、バーナーマンが辛抱を切らす少し前、キングは口を開いた。
「では君は彼を弄んだんだな」
 度重なる衝撃発言に、バーナーマンは部屋を出て行こうとしていたことも忘れて、その場に立ちつくす。
ハニーでダーリンな関係ではないにせよ、キスを求めれば拒まれない程度には上手くいっているし、マジックマンの機嫌がハイであれば、向こうからお誘いがかかる程には、二機の関係は一方的なものではなかった。
 それを弄んだなどと、言われるとは。
「……それは……なんかスゲェえろい感じがして、やってみてェなあ」
「ハハハ。思ってたより病気が進行してるね」
 重篤だな、キングは笑顔でにべもなく断じた。
「ホワイトデーではチョコレートの返礼をするのがしきたりでね。その日に返礼を受けて、初めてふたりは恋人になるのだそうだよ」
「ンで、そんなややこしいやりとりを」
 全ては極東島国の製菓会社の策略であるからして、なんでもくそもないのだが、そんなことをバーナーマンが知るよしもない。
「バーナー。いいかね。確かにお前はマジックの告白にきちんと返事をしなかったかも知れない。だけどよく考えてごらん、愛の告白は一度きりというわけじゃない。でもマジックの思いを踏みにじってしまったからには、おまえもそれ相応のやりようがあるだろう」
「どうすりゃいい」
「改めておまえが愛を語ればいい。そうしてふたりで再出発するんだ」
「そうか! わかった! ありがとよ!」
 部屋の中央にいるキングと入り口の傍にいるバーナーマンのやりとりは、密かにという訳にもいかず、
ほとんど舞台劇かという音量で朗々と語られていた。廊下を通りかかるものがあれば、聞きたくなくても耳に入っていただろう。
 そして聞いている者がいれば、「お戯れが過ぎますよ」などと声を掛けても良かったかもしれない。しかしながら、幸か不幸か廊下を通る者はなく、キングは活き活きとバーナーマン相手に嘘、とは言わないまでも、かなり誤解を招く内容を語るのを妨げられずに済み、茶番はつつがなく閉幕したのであった。

***

「……何のつもりです?」
 自室に飛び込んで来るなり、唐突に黄色いリボンのかかった包みを握らせるバーナーマンに、マジックマンは首を傾げた。
「好きです」
「存じてます」
「受け取って下さい」
「受け取らされてます」
「いいから!」
 ぎゅうぎゅうと包みを押しつけられて、マジックマンは不承不承それを手の内に納めた。薄く平べったい四角形の包みを、くるくると裏返して回し、褒めて貰うのを待つ犬のようなバーナーマンをチラリと見遣る。
「エート、何ですか、開けて良いんですか」
「ドーゾ」
 急かされるようにリボンを解き、包みを開けると、中から出てきた茶色の固形エネルギーを見て、ああ、とマジックマンは合点がいったように声を上げた。
「義理堅いですねえ」
 あれは貰い物だったから気にしなくても良いのに、と宣うマジックマンに、バーナーマンは酷く肩透かしを喰らった気分だ。
「どうしたんです?」
「キングが」
 殆どその単語で全てを悟ったマジックマンに、意気消沈と言った様子でバーナーマンが事の経緯を語って聞かせる。
 キングに騙されパイレーツマンに与太を吹き込まれマジックマンに化かされても、まだなおしっかりと四月一日には鮮やかに騙されるのだから、気持ちの良いばかだなとマジックマンは苦笑いを浮かべた。
「懲りずに騙されるのは、まあ、あなたの良いところでもあるんですけどね」
 垂れた尻尾が見えるようだ。心なしか頭上の炎も勢いを緩めて、マジックマンはしおたれた犬のようだと思いながら、ヨシヨシと頬を撫でてやった。
「振ったとかむげにしたとか弄んだとか言われたら、気になんだろ」
 顔を撫でる滑らかな指先を捉えて、バーナーマンが深刻そうに排気をする。存外律儀な男だ、まじまじと顔を見つめながら、マジックマンはへろりと口にする。
「でも私はホワイトデーとか、知りませんでしたけど」
「うそ」
「初耳」
 だから気にするな、とマジックマンが言うより先に、バーナーマンがぱあと顔を明るくした。
「あーじゃあホワイトデー楽しみにする」
「アラアラ?」
「三倍返しとか言うらしい」
 あらぬ期待が透けて見える、実に分かり易いバーナーマンに向かって溜息をひとつ。
「それじゃあね」
 マジックマンはバーナーマンの鼻先にチュ、と分かり易く音を立ててキスを落とすと、豆鉄砲をくらったような顔のバーナーマンに向かってうっそりと微笑を浮かべた。
「今すぐ返事を差し上げるのと、一ヶ月後までお預けと、好きな方を選ばせてあげましょう」
「えっ」
「ひとつだけですよ?」
 そう言って、渋面を浮かべるバーナーマンを眺めて愉快げに笑う、マジックマンの脱力した顔がコアをびりびりと震わせて堪らない。
 バーナーマンは今すぐ抱き潰したいという衝動に抗えず、マジックマンの体を引き寄せた。


 

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2011/02/23 小説 Trackback() Comment(0)

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