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2018/09/22

アンテリリ

めっきりさむいですね。ほんとさむい。
朝、ポケットで暖めないとクラッシュ(アイポッドの名前※)が動かなくなると冬だなあという気持ちがします。

家のPCも会社の機械たちも寒すぎると動作が不安定だから、きっとフラッシュも寒すぎると動きが遅いよ。
暖まるまでぐだぐだ。暑くても駄目、寒すぎても駄目。
メタルは寒いと超クールなんじゃないか。冷酷レベルでテンション低い。ただし暑いと今度はキレ易い。
変温動物的なところが非常によく似ている、とか言ったらフラッシュはきっと複雑な顔をするに違いない。
※ 連続再起動を余儀なくされた際に命名。第一世代ナノさん。
  4GBなので色んな事を忘れさせないとやっていけない。そうはいっても荒ぶり過ぎだよ…!!

続きからリリのおまけです。相変わらずうすらぬるくらい。寒いから仕方ないの…!

拍手早速ありがとうございましたー!
は、はやい…うれしい…
ぺちぺちありがとうございます。ありがとうございます。
これで明日も頑張れる… こころの栄養ってだいじですね。ありがとうございます!




 起き上がると、ふらつくようだ。
 電脳構築された世界と違って、容れ物を軸に世界を構築するやり方に、からだをシフトさせなければならない。それは分かっているのだが微調整がうまくいかず、ポッドに足を引っ掻けた。
「大丈夫か?」
 派手に転がった自分を見て、博士は足の上げ下げが、とコンソールに触れた。ディスプレイに映る機体情報は、どこもグリーン価を表示している。
「問題ありません」
「バランサはどうだ」
 立ち上がりなから、よろけてポッドに手をついた。全身をスキャンして、もう一度センサーから入ってくる情報と知覚、駆動系の位置づけを確認する。
「正常です」
「キャリブレーションが不十分かの」
 崩れた体制のまま、速やかに即答を返せば、博士は左側の眉を大きく歪め、口を複雑に曲げた。チッ、チッ、と不格好に唇を鳴らした囀り音と、コンコンと指先でコンソールを弾く音に合わせて、博士の隣に立っていた赤い機体――二台前の兄機体、DWN012クイックマンが口を開いた。
「慣れですよ」
 きっぱりと断じたクイックマンは、組んでいた腕を解くと、大股に近づいて来た。データバンクは、彼をDWN最強機と示している。
 一歩が大きい。赤い兄機体はたった二歩で傍らに立つ。
「おい」
 かけられた声は、様々な機械の振動音でやかましいドクターワイリーの研究室において、不思議とよく通った。
 細身の体躯は一部の無駄も無く、恐ろしく整った造形として映った。力強く灯るアイセンサはレーザーのような。目の前の兄機体を注視していると、クイックマンはおもむろに手を伸ばし、二の腕を掴みとった。
「電脳空間での経験値は捨てとけ。役に立たねえからな」
 ぐいと腕を引っ張られ、機体がふらつく。唐突で大雑把な動きについていけず、更にぐるりと引っ張り回されて悲鳴を上げた。
「やめてくれ!」
「振り回されないで調整しろ」
 ほらほらと腕を掴んだまま右へ左へ振られて目が回る。
「ス、スキャンを」
「いらんいらん。システムアウト。直調整出来るだろ、…おまえ膝間接があるの忘れてんじゃないのか」
 全身の状態を確認してから、感覚調整をしたい。しかし、よたつく弟に頓着したふうもなく、クイックマンは尚も手を引いた。
 あんよはじょうずと言いたいなら、乱暴にも程がある。
「転、」
 足がもつれて前のめりになる。
 赤い装甲に額がぶつかり、そのままクイックマンを巻き込んで床に投げ出された。膝を打つ。
 衝撃に驚きながらも、大した異変がないことにほっとした。大きな破損はない。
 安心して立ち上がろうと手をついたところで、クイックマンを下敷きにしていたことに気付いた。コアが竦む。
「これは、申し訳ない」
「申し訳ない?」
 謝罪句のセンスを笑い飛ばしたクイックマンの後ろで、博士も今のうちだけだ、と言って笑った。
 下敷きにされた状態で、クイックマンが二の腕をばしりと叩いた。体幹を揺さぶって感じるほどの強さに驚いて視線を戻すと、意外に機嫌のよさそうな顔があった。もう一度驚く。
「前のめりに転ぶのは良いな」
 尻餅は無様だと言われて、のし掛かったままだった体を慌て引く。よろよろと立ち上がり、クイックマンが立つスペースを作るために、さらに一歩下がった。
 クイックマンは反動をつけて、ほとんど下半身だけで立ち上がった。無駄と隙のない、綺麗な所作だ。各パーツごとの調整が、よほど精緻なのだろう。
「相手を巻き込んで転ぶのは有効だな。無理に機体を立て直すと隙がでかい」
 リスキーだがと言い置き、再び二の腕を叩かれる。やはり少し強いのか、肩がびりびりと震えた。
「稼働三十分で俺に一撃か」
 からりとした陽性の笑顔は、上機嫌の表情で間違いなかった。きらきらと輝くアイセンサ、その明るく青みがかったグリーンにコアが震える。これは痺れか。コア挙動は異常ない。許容範囲内の誤作動か。痺れが何に起因するのか、判定するには経験が絶対的に足りなかった。
 経験が足りない、この世界は今までいた場所とまるで違う。
 目覚めたばかりの世界は反応が鈍く、思考と直で管理できる結果を導き出すために、外殻の行動制御を挟まねばならないのだ。
 何もかもを自分の制御下に置けた、クリアで整然としていた世界とは大違いだ。
 不確かで煩雑で、見通しの利かない場所の多さは足が竦む。電脳の回りにぶら下がる鉄の塊、己の外殻、ボディと呼ばれるもの、これが自分の行動を狭める気さえするのに。
 それでも、コアの拍動が全身を伝わり電脳を揺らすと、気分が高揚した。もっと動きたい、と思う。
全身を巡るパルスが、重たい体を突き動かすように電脳と繋がる痺れを、煩わしいとは思わなかった。
「動作確認がてら、訓練してやる」
 向けられた言葉は、ひどく魅力的に響いた。はっとアイセンサーを向けたところにある、鮮やかな笑顔に一も二もなく頷く。
「こらこら」
 それを咎めるように、ワイリー博士の声が飛んだ。
「毎度の事だがの、稼働早々リペアルーム直行はかなわんぞ」
「ご心配には及びません。メタルじゃあるまいし、稼働間もない弟の首を飛ばすようなへまは」
「あ、ほ、程度の問題じゃないわい」
 物騒な言葉に一瞬怯みかけたが、しかしなと渋る博士の様子を見て、慌て口を開く。
 もっと動きたい、コアが飛び出しそうに跳ね回っている。
「博士、問題ありません」
 己はこれだと認識できるのは電脳だ。
 今まで電脳だけの世界に棲んでいた。
 しかし、この、電脳の、「己」の回りにぶら下がる鉄の塊、己の外殻、ボディと呼ばれるもの、神経回路を痺れさせてしまう――、この拍動。機体の核と呼ばれる、もう一つの「己」。
 自分の制御下におけない自分が、もっと、と狂いそうにエネルギー活動を活発にする。
「やる気があるのは良いが、タイムストッパーは機体の挙動が安定するまで許可出来んでな」
「特殊武器を使用しない戦術も習得の必要があります」
 我ながら必死で言葉を足した。ワイリー博士が首を傾げながらも頷いて、クイックマンを見る。
「意欲的だの。――まあいい、戦闘データは提出してくれい」
 口元の笑みを深くして、クイックマンが視線を返す。
 コアが大きく拍動する。回路を引き絞る痺れ、その意味を知らない。
 ただ、もっと、と。

「行くぞ」
 伸ばされた手を、迷い無く握る。
 世界は不自由で目眩がした。
 

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2010/12/16 小説 Trackback(0) Comment(0)

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