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2018/09/22

フィーバーライダー

動物機体って好きです。
ゆえにフレンダーが好きです。
ていうかフレンダーが好きすぎるんです。
いや敵だと苦手すぎるんですが。やめてやめて。
動物だいすきです。
惜しむらくはフレンダーはもふもふしてないとこかな…

そんなこんなでタンデムなワイリー博士とフラッシュマンです。

05/07 誤字脱字と微妙に加筆修正


 遠くから、なにやら耳慣れぬ音が響いてくる。
 フラッシュマンは足を止めて聴覚センサーと視覚センサーの感応値を少し引き上げた。ワイリー城の廊下は消失点が見える程長大で、端から端を見るためには、アイカメラの視認値を普段の範囲から引き上げる必要があった。
 音は、フラッシュマンが今歩いてきたほうから響いてくるようだ。
 か、かしかしかし、軽やかにリズミカルに、何かが近づいてくる。フラッシュマンは顔だけ振り返って端を探った。意識して視認感度を上げるのは、人間で言うと目を細めて遠くを見るのとよく似ている。
 青いボディ。四足移動。
 フレンダーだ。
 フラッシュマンを視認してスピードを緩めたフレンダーは、かしかし、と床を弾いた。どうやら先ほどまでのは、フレンダーの脚底部が床と擦れる音であったらしい。
 しかし、なんだってこんなところを疾駆しているのかと身体ごと振り返ったフラッシュマンは、その背からひょいと覗いた顔にたいそう驚いた。
 壁際に寄ったフラッシュマンの前で足を止めると、フレンダーは挨拶のつもりか、口の中で一瞬火を閃かせる。
「なにを見つけたのかと思えば。何を壁に貼り付いとる」
「すみませんね、通行の邪魔かと思ったんで」
「心配せんでも轢きやせん」
 フラッシュの顔を見て、我らがワイリー博士は嬉しげに呵々と笑う。そのままフレンダーの肩をポンポンと叩くと、心得たようにフレンダーは膝を折った。
 ワイリーが背から降りるのを手伝いながら、フラッシュマンはよく博士の意向を汲むフレンダーを見つめた。
 もともとは防火用の犬型放水ロボットだが、基地内にいるフレンダーのほとんどは改造されて火炎放射ロボットとして働いている。組織全体の一般戦闘ロボットとしては、数はあまり多くない。
 そして、そのうちの大半はウッドマンの管理区域に配備されていた。
 あまり触れあう機会もなく、これほど近くで見ることも滅多にないことで、密かにフラッシュマンはコアが震えるのを感じる。
「なんだって騎乗して走ってンです」
 内面の動揺を表面には一切漏らさないように、フラッシュマンは呆れを装って口を開いた。しかし、フラッシュマンの虚勢には頓着せず、ワイリーはにやりと笑ってみせる。
「いいだろう」
「は」
「爽快だぞ。うらやましいか」
 年の割に子供っぽいところのあるワイリーは、得意げにフレンダーの腕を叩いた。己のアルファが誰かを知っているフレンダーも、ワイリーに倣って胸を張って見せる。
 青い、動物フォルムの胸が美しく弓形にそる。
「そりゃ、あ、まあ、」
 羨ましいかと言われれば、羨ましい。
 無駄のない四肢は言うまでもなく、ゆらり、と尻尾の揺れる様や、音に反応して耳がぴくりと動くような、繊細に組み込まれたアニマルとしての挙動は、間近で見るとより心を揺さぶってくる。なにより、ひたむきで活力のあるアイセンサーは力強く、自信に満ちた立ち姿はいかにも勇ましい。
「うらやましいです」
「そうだろう、そうだろう」
 フラッシュマンは、フレンダー導入の際に、部下にというかせめて傍付きに一頭欲しくて、配備を申請したことがある。残念ながら、高温環境が得意でないフラッシュマンには、熱源の塊であるフレンダーとは相性が悪く、申請は受理されなかった。
 フレンダーが一機いるだけで周囲の温度があがってしまう為、空調を低めに設定してあるフラッシュマンの管理区域には、フレンダーは実に不向きだった。傍付きが認められなかったのは言うまでもない。
 しかし、見かけるたびにいいなあ欲しいなあ、という気持ちが過ぎるのは押さえられないものだ。
「端から端まで歩いてたら日が暮れるだろう。老体にはきつくてなー、ワイリーマシンの小型化やらガッツタンクの小型化やらを進めるよりは既存の」
「ちょっ」
 不意に、フラッシュマンはフレンダーに鐙も手綱もないことに気付き、目を剥いた。
 咄嗟に悲鳴じみた声をあげてしまい、語り始めたワイリーの言葉を遮る形になってしまったが、本意ではない。驚いたために注意する余裕がなかったのだ。
「裸馬じゃないすか! 落ちたらどうすんの」
 お年を考えて下さい、と今度こそ呆れて言えば、ムッとしたようにワイリーは鼻を鳴らした。
「鐙と轡がないだけで滑落防止シートは敷いてある」
「なーこと言ったって…やべーでしょうよ」
 メタルマンに知れたら目玉じゃないかなと呟けば、ワイリーは思うところがあるのか押し黙った。こと我らが博士のこととなると、意外と喧しい秘書兼長男との付き合いが最も長いワイリーも、フラッシュマンと同じ考えに行き着いたようだ。
「…まあ落ちたら落ちただ。死にゃせんわ」
「いや、いや?! 死にますからね? 落馬は打ち所で死にますからね。犬ですけどね」
「落ちなきゃ構わんだろうが」
 背中に背負っていたデザインケースで、べんと頭を殴られ、さっき自分で老体って言ったくせに、とフラッシュマンは口の中で呻いた。
 年の割に足腰が強靱なワイリーのことを、そこまでフラッシュマンは信用していないわけではないのだが、もしも、ということがある。
 必要以上に神経質になるのもどうかと思うが、だが、防げるはずのうっかり事故で、そんなことで彼を失うわけにはいかない。自分たちが壊れたら博士が治してくれるが、博士が壊れてしまったら自分たちにはなすすべはないのだ。
「落ちるかもってのが、怖ェんですよ」
 思ったよりも本気な声が出てしまって、フラッシュマンは動揺した。
 考えを、ほろりと口から零してしまう、という己の様にも動揺した。
 考えなどというまとまった形ですらなく、機械にあるまじきもやもやとしたただの感情そのものを、露出させてしまったことがひどく恥ずかしい。こういうときにはどうも得意の口も論理回路も回転が鈍く、フラッシュマンは言葉を失う。
 こんな不確定要素を、ただ自分の中にしかない不安を示したい筈がないのに。
 そうして口ごもるフラッシュマンの横へ、フレンダーがふと顔を下げた。
 懐こい様子で瞬き、横顔のまま、視線だけをフラッシュマンに向け、ボッボッと喉の奥で炎をひらめかせる。
 ちらりと覗く炎で一瞬顔を熱波が過ぎるが、フレンダーは城内で火を吐くなという言いつけを守っており、口から炎をはみ出させることはなかった。
 きらきらと目が輝いて見える。真っ直ぐな目だ、どうぶつの。
 言わんとするところを察して、フラッシュマンは大きく瞠目した。
「お前が乗れば良かろうとよ」
 そうと決まれば、と体高を下げたフレンダーの背にワイリーは跨る。
 ひらり、と颯爽とフレンダーの背に昇る後ろ姿を見る限りでは、やはりそんな万一があって堪るかという気にもなるのだけれども。
「…じゃあ、後ろに乗りますんで。落ちんで下さいよ」
 背に手をかけたフラッシュマンをじっと見つめ、フレンダーが喉をボボボと鳴らす。
 顔が熱いのはフレンダーが傍にいる所為だ。



*おまけ

こんな隊長はいやだ。

少女漫画が好きだ
「いや、いや?! 死にますからね? アンソニーはそれで死んでますからね?」
「誰だ」

なかなか乗れない
「お前鈍くさいの」
「ちょ、博士コレどうやって乗ったんすか!」
「フレンダー、尻尾で押し上げてやってくれ」

三半規管が弱い
「ま、待ッ、水平情報エラー…!」
「お前が落ちるなよー」
 
どんくさくて格好良いフラッシュマンが書きたいです。

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2009/04/28 小説 Trackback(0) Comment(0)

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