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2018/06/18

リリ

お寒うございます。
空は真っ青だし、夜になっても透っててきれいだし、やべー星見ないと星!
といった気分にはなりますが寒いですね。あまざけのみたい。
このとこの雪雪雪な日本海側の方々には鼻で嗤われそうな関東民ですが。寒いのは寒い。
でも雪を想像しただけで足の先が冷たくなる…せめて暖かくお過ごし下さい。

寒いぜ談義はさておき。
クイフラ投下に参ります。
【ご注意】
 ・残念なことに続きます。
 ・色々見切り発車ですごめんなさい。
 ・クイフラ度は徐々にあげていき   たいな。


 闇の中で、ちかりとひかるものがある。
 刹那で途切れる光は、こちらでちかり、としてはあちらでちかり、といった具合に、瞬くごとに場所を変えた。光はひりひりとわななき、まばらに、しかしそこかしこに、どんどんと光は数を増し、輝きを増し、ついには溢れて世界を白く染める。
 クイックマンは世界が光に飲まれる音を聞いた。


 チャージが完了しました。
 メイン動力炉に異常なし。起動後、駆動系の確認を行って下さい。
 内部リペアが終了しました。
 破損データの修復が終了しました。修復不能なディレクトリがあります。
 論理回路に異常なし。情動回路に八%の乱れがあります。
 主回路に異常なし。システム正常。
 スリープモードを解除。スタンバイモードに移行します。
 クイックマンを起動します。

 起動コールとほぼ同時に、クイックマンはばちりと瞼を開いた。
 いつもに比べて、ややひっかかりを感じる目覚めは不満が残る。全身に渡る循環エネルギーはいつも以上にクリアだったが、いささか明瞭に過ぎた。
 ちりちりと微細な振動が刺激として伝わるところは、まるで初稼働時のようだ。
 高速で瞬きをする傍ら、クイックマンは全身の――主にメイン動力炉と循環・駆動系、ターボ機器類にスキャンを走らせる。メイン回路に異常は見られない。ただ、僅か、ほんの僅かではあるが、重心バランスが動いている。
 己の調整と異なった身体の様子が意味するところに、大いに疑念と不満を込めたまなざしで、クイックマンは正面の長兄を睨んだ。
 メタルマンは防御壁を隔てたリペアシステムの脇に立ち、クイックマンの状態をモニタ中のサポートロボットと、顔を見合わせて頷きあった。防御壁の一部である透明なディスプレイ越しに、弟の視線に気付いたメタルマンは、数歩の距離を歩いてクイックマンに近づき、その頭が完全に横を向く勢いで引っ叩いた。
「おはようクイック。無事で何よりだ」
「起き抜けに殴られる程度の無事って何だ」
「修復不能なディレクトリには俺との学習も入ってるか?」
「修復不能?」
 とっさに聞き返すと、もう一度かとメタルマンが手のひらを肩の位置にあげたので、クイックマンは早口でオハヨウゴザイマスと言った。
「データ破損? なんだ?」
「駆動系システム以外のスキャニングも自発的にしろ」
 高速で瞬きを二度したクイックマンに、メタルマンは呆れたように鼻を鳴らし、しかし真面目な声音で尋ねた。
「今日の日付は」
「20XX年くが――なに」
 あほなことを聞くなとばかりに口を開いたクイックマンが、はたと口を閉じる。
 クイックマンは九月、と言いかけて、まだつながれたままのリペアシステムがデータを十一月、と即座に修正してきたことに眉を顰める。パーソナルメモリーと、パブリックデータとがかみ合わないことに気づいて、一度浮かしかけた尻をもう一度ポッドへ下ろした。
 一呼吸置いて、クイックマンはざっと自分のデータを比較し始めた。
 コンソール前のサポートロボットが、クリアディスプレイ越しに二機の様子を伺っている。
「…なんだ。二ヶ月くらいのデータがごっそりないな」
「ああ。まあな。正確には、修復できずに消えたのは二十八日分だ。残り二十四日はそもそもない」
「ダウンしてたのか、俺は? なんだってそんな長期」
 五十二日間も、とつぶやき、クイックマンはハッと顔を上げた。
 こうしてはいられない。
 重心のずれや、全身に感じる微妙な違和感。それらが、己がブラッシュアップを重ねてきた機体の調整が変わっていることに由縁すると気付く。
 ベストなバランスが動いているなら修正する必要があるし、もし、バージョンが下がっているならすぐにでも不具合箇所を突き止めて調整をしなければならない。
 立ち上がり、メンテナンス用のチャージポッドから抜けようとしたクイックマンを、つながれたままのケーブルがぴんと張って引き止めた。
「クイック」
 それに重ねて、クイックマンを制する声でメタルマンが弟の名を呼ぶ。
 しかし、そんなことは些末事である。
 稼働してこの方、最速だけを目指してきた体がなまってしまっているなら、その遅れを取り戻すことが、クイックマンにとっての最優先事項だ。これは存在定義に関わる、重要な決定である。
 鈍っている、などと。その単語すら憎悪しかねない程、クイックマンにとって鈍重であることは、許し難い悪だった。
 聴覚器に繋がったままの太いケーブルを、ほとんど引きちぎるようにして一歩足を前にした。
 ばきん。と、その瞬間に、耐えがたい痛みが全身を駆け巡る。落雷が直撃した、背後から不意を突かれた、予期せぬ鋭い衝撃、クイックマンは床にくずおれた。
 無様に悲鳴を上げることこそ避けられたものの、痺れが体を支配して、意志とは関係なく立ち上がることができない。刺激が痛覚として全身を揺さぶる感覚は、感電か、漏電か。
 立ち上がるために、クイックマンは痛覚を遮断して回避しようとしたが、背中に繋がったケーブルがカチンと小さな音を立ててロックされ、クイックマンからの制動権がシャットアウトされる。
「メ、タル!」
 発声回路はダウンしていないようだ。クイックマンは怒号を上げ、犯人とおぼしきメタルマンを睨み付けた。噛み殺さん勢いで睨むクイックマンの視線を平然と受け取ったメタルマンは、眼の前ではいつくばる弟を眺め下ろして、満足げにうなずく。
「良いシステムだ」
「…そりゃどーも」
 メタルマンの言葉に応じたのは、障壁向こうのサポートロボットだった。慣れた様子で、砕けた調子で応じる。部下にそんな物言いをメタルマンが許すのは珍しい、というか、そんな口利きをする部下をクイックマンは初めて見た。が、いまはそんなことに関わっている場合ではなかった。
「データの、確認は、あと、でいい」
 呻くような声は非常に不本意だったが、こうして地べたに這いつくばっているのも趣味ではない。痺れの回る体で切れ切れに訴えると、メタルマンは腰に手を当てる。
「起動直後の同定作業を怠るからこうなるんだ。少し待て」
 これを機に、駆動系だけでなく、データ挙動にも注意を払え。にべもなく言い放つメタルマンの傍らで、サポートロボットは些か申し訳なさそうな様子でコンソールをたたく。
 データ関連の同定作業をクイックマンが怠るのは、今に始まったことではないが、そのことについてメタルマンは再教育の必要あり、と前々から考えている。何度かメタルマンは、起動後の確認事項についてクイックマンを指導しているが、不要と判じたことについては全く覚える気のないクイックマンに習慣づけるのは並大抵のことではない。
「メタル、同定できた。完全把握しました」
 DWNの長兄を呼び捨てたサポートロボットをとがめることなく、メタルは鷹揚にうなずいた。
 それと前後して、全身を流れていた痺れが和らぎ、クイックマンは大きく排気を促す。過大な負荷をかけられたように思った機体は、思ったよりダメージが少ない。狐に摘まれたような感じがしながらもクイックマンはその場にあぐらをかいた。まだ、膝がぴりぴりと粟立つような感覚がある。
「…ま、一ヶ月も見てたんだ、確認の必要もねえわな」
 人間くさい仕草で排気をする――いわゆる溜息をついた機体について、クイックマンはようやく一つの可能性に至った。よくよく見れば、量産機とは装甲の質も指や表情の細かさも異なる。
「……クラッシュの後継機か?」
 完成したのか、と訊くと、クイックマンの視線を受けて、その未確認機体――青い、ロボットは、ディスプレイ越しに、うなずいて見せた。硬い表情で、実に慎重に頷く。一瞬のゆがんだ表情が、一体何を意図するのか、クイックマンは考える。
 ディスプレイにも防御壁にも歪みはない。間を隔てる壁のせいでないとすれば、僅かにひきつったように見えるのは、おびえか。緊張か。
「…DWN014、フラッシュマン」
 よろしくたのむクイックマン。
 じわじわと話す声は、こわばったままの表情よりずっとなめらかだった。話し方自体は、バブルマン並とは行かないまでも、ゆっくりめだ。いずれにせよ、クイックマンの視線から逃げる様子はないが、過度な警戒に見える様子は挙動不審だった。
「ああ、クイックマンだ」
 調整がしたい、言いながら背中のケーブルを抜こうとすれば、フラッシュマン、と名乗った最新機体がクイックマンを慌てて制する。
「…ロックを解除せずにケーブルを引き抜くと、ペナルティが流れるようにしてあんだよ」
 再稼働直後くらいじっとしてればいいのに。
 知った風な口を利くのがおかしくて、クイックマンは少し笑った。
 なぜかフラッシュマンは目をきつく細め、この目を見たことがあるような気がしたが、メタルマンが横から「お前がケーブルを何本もちぎるからだ」と口を挟んできたことに応対するので、それが何なのかという事は忘れてしまった。
 

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