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2024/04/25

おまけの反省会

先日一日くらいアップしていた下の小説ですが、
会話も無いしあれかしらーと下げましたところ、
友人含む数人の方に記事について言及いただきまして、
お恥ずかしながら復帰させて頂きました… 多少修正しました。

なんだか申し訳ないのでおまけを足しておきます。



 


「報告をどうぞ」

 ブリーフィングルームに入ると、テーブルの一番奥の中央を避けた隣にメタルマンが、そのまた隣に座るエアーマン共々フラッシュマンへ視線をよこす。
 一瞬怯んだものの、向かい側を促されてフラッシュマンは上兄二人の前に立った。下手に距離を置くと、遠レンジが得手の二機から何が放たれるか分かったものではないので、出来るだけ不用意な間は空けないように心がけていた。
「DWN014フラッシュマン、作戦No.09021の報告をいたします。目的1、レアメタル鉱脈に関する情報確認結果、ガセと判断。従って目的2、情報の入手は不可能」
「判断基準を明確に」
 どうぞ、と掌を見せる仕草でメタルマンが先を促す。
 きゅ、口を引き締め、フラッシュマンは真っ向からエアーマンを見た。
「ガセどころか罠でございましたよこのお兄様、砂漠のど真ん中で警戒態勢バッチリとか、まじ、ない、です、何与太掴まされてんですかね」
 フラッシュマンの鈍く冷えた視線を受け、エアーマンは軽く目を愉快げに眇めたのみだった。余裕のある様子にフラッシュマンはわき出そうな罵倒はなんとか飲み込み、はっとしてメタルマンの方を見た。
 じっと注がれるメタルマンの視線は常通りに冷静な光を湛え、フラッシュマンは知らず冷却ファンの回転数を上げる。
 ぴんと緊張するフラッシュマンの空気をくみ取ることなく、メタルマンはちらっとエアーマンを見てから、しばしの間をおいてフラッシュマンに視線を戻した。それで、と頷く。
 セーフ!
 心の中で腰を落として勢いよく掌を左右へ、野球審判の姿勢を取ったフラッシュマンに、横合いから物言いがついた。
「今のアウトだろう」
「ぎりぎりだな」
 ちら、と上がる視線は、暗に次はないぞと語り、フラッシュマンは喉の奥でヒとなりそうな声を飲み込む。
「…しかし罠か。ガセだった可能性も考えて行ったわけだろうに、なんで殲滅」
「そりゃ、あんだけソースの曖昧な情報だったわけだし」
「情報中継地点への工作、ないしは速やかに帰還。完全殲滅の指示は出していないはずだが」
 もっと別のやりようがあったのではと互い違いに言われて、フラッシュマンは憮然とする。
「中身があれば情報入手にも使えたかもしれませんけどね、ありゃ警戒システムの実験場みたいなもん。データ取られるのも業腹だもんで全部引っこ抜いてきたんで、す、ゥ! ていうか何なの、なんなんですかね? 砂漠任務は俺ちょっとアレですし単独殲滅系もおれちょっとむかないですし? サポート今回ナシになった理由もお聞かせ願えませんかおにいさまがた」
 一息にまくし立て、合間合間にテーブルをべしべしと叩けば、ぱちりと瞬きをしたメタルマンが、そりゃあ、当然のような顔をして口を開く。
「おまえちょっと依存心高いからな」
 ハアアアという内部機関から全ての空気を押し出すようなフラッシュマンの抗議は、悲しいことに可聴域を越えて吐き出された。口を大きく開けただけのフラッシュマンに、メタルマンは頷きをひとつする。
 その横で、会議は終了とばかりにエアーマンが立ち上がった。
「戦闘に消極的なのは良くない、だな?」
 呆然と立ちつくすフラッシュマンの肩をエアーマンが気軽な仕草でひとつ叩く。さび付いた動作でメタルマンを伺うと、クイと顎をしゃくり、入り口のほうを促された。
「修理したばかりだから壊すなよ、訓練施設」
 途端に壁に貼り付こうとしたフラッシュマンは、しかし腕を取られて対して距離を空けることは敵わなかった。
「え、な、なに! 訓練所ってなに!」
「訓練するところ」
「何の!」
 必死で逃れようと藻掻くもの、二の腕を掴まれただけだというのに全く抵抗が出来ない。ぐいぐいと全力を込めているというのに、片手のエアーはびくともしなかった。
「…組み手かなあ」
「対多数で組み手なんか役に立たない!」
「対多数のやり方を教えてやろう」
「いいいらないなにあんた怒ってンの?! つかえねーとか言ったの根にもってンの!」
「ははは。まさか」
「薄ら嘘くせえよ!!」
 じりじりと引き摺られながら、半泣きで叫べば、まあまあ、と取りなすようなメタルマンの声が横合いから投げられた。意外に思いながらも助けを求めて振り返れば、既に資料を整えて小脇に挟んだメタルマンは、ブリーフィングルームを締める準備をしていた。
「むかないっていってもちゃんと作戦をこなしてきたじゃないか」
 椅子をしまって電気を消し、入り口間際で抵抗していたフラッシュマンをエアーマンごと廊下に押し出す。一瞬でも救いを求めた自分が甘かったことをフラッシュマンは知る。
 ピッピッと電子音が二回して、無人の部屋を施錠すると、メタルマンは少しだけ考えた素振りを見せてから、そっと労うようにフラッシュマンの頭に手を置き、一度だけ撫でた。

「やればできるこだ、な」
「あんた褒めればいいと思ってんでしょう!」

 

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2009/07/20 小説 Trackback() Comment(0)

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