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2024/04/25

かんかくのちがい


わー! わー! わー!!!
私もの凄い勘違いしてた!
すみませんすみませんでした、6月にフリーリクエストくださった方、わたし勘違いしていました!
海賊×マジックでしたよね! そうでしたよね!
どこかで完璧勘違いしてバナマジかいてました…
も、もうしわけありません、やり直しますので! どこで間違えたんだ本当に申し訳ありません!

でも書いてしまったのでコレは上げておこう…(貧乏性)

ほんとうに申し訳ございませんでした、再びもうしばらくお待ち頂けると幸いです…
やってしまった…


やー しばらく間があいてしまったもので、マジックの性格が少し変わってしまった感じです。
書き始めの頃は割とワアワアしてたのですが、いま割と落ち着いてる感じ…
これは色々とマジックのことで 主に下いことで悩んでいたのが吹っ切れたせいかな。
こんなところで書くのもアレなのでその件についてはまた後日。


 グランドマンの下敷きになったらしい。
 マジックマンの話だ。

 彼らはふたり――二機で、中東だか南米だかに赴いたらしい。中東と南米では半球すら違うが、バーナーマンの認識では似たようなものだった。
 マジックマンが誰かと組んで出て行くときは、概ね任務が二つか三つ同時進行するときで、今回もあれこれと無茶なことをやらされたらしい。
 らしいらしいで頼りない情報であること甚だしいが、所詮バーナーマンは聞いただけであり、もっと言えば、詳しいことを理解していなかった。
 暇を持て余し気味だったバーナーマンは、同じように待機組だったパイレーツマンに「あれこれ」について軽い気持ちで尋ねた。バーナーマンと同程度の誠意でもって対応したパイレーツマンの答えは、「言って理解出来るのか」であり、鼻で嗤うのおまけがついてきたもので、バーナーマンは些かかちんときたのである。
 実に安い挑発だが、暇だったせいもあって、バーナーマンはカッとなるのに任せ、かなり軽い気持ちでウェーブバーナーを出した。直撃させるつもりがあったわけでもないが、リモートマインで易々と返された挙げ句に蹴りを食らい、完全にむきになってしまった。
 いつの間にか、相応の真剣勝負で戦り合っていたバーナーマンとパイレーツマンは、キング基地の天井を焦がしたあたりでコールドマンに揃って凍らされた。キングがたまたま留守だったのは幸いだが、自基地の中で暴れたのがばれると後が怖いので、しぶしぶ補修をすることになってしまった。
 自業自得とはいえ、やたらと焦げ痕の多い補修作業はひどく面倒なものだ。
 その所為で、バーナーマンが作業を終わらせたときには既に、帰還したというマジックマンは整備室に行ったあとだった。件の話はそのときに小耳に挟んだのだ。


「おい無事かあ」
 整備室に入ったバーナーマンは、真っ先にリペア台を確認し、リペア台に俯せになっているマジックマンを見つけた。
 どちらでも大概の施術は可能だが、エネルギー関係や電脳、内部機器関連の作業時は椅子型のメンテナンスロッカーを、腕がもげたの足がもげたのの、所謂外科的な作業時はベッド型のリペア台を使うのが常だ。とはいえ、破損箇所によってはこれに限らない。
 バーナーマンは足早にベッドに近寄ると、顔を真下にし、帽子を後頭部に乗せて、正しく俯せているマジックマンにおい、ともう一度声を掛けた。
「喋れますけど無事じゃないです」
「グランドに潰されたんだってな」
 億劫そうにもごもごと不明瞭な声で応えたマジックマンは、バーナーマンの揶揄混じりの声を受け、ううと唸りつつ顔だけをこちらに向けた。
 シルクハットが落ちないように手で押さえながら、大儀そうな動作でアゴの下に片手を置く。姿勢が落ち着いたマジックマンは、嫌そうにバーナーマンを見た。
「誰が言ったんです」
「テング」
「あのカラスは全く口の軽いこと」
 忌々しげに目を細め、マジックマンは大きく排気をした。
 マジックマンの話すところによれば、作戦を終え、帰還直前にそれは起きたのだという。
 ガードロボは次から次へと姿を現してきりがなく、二機は適当に切り上げる離脱のタイミングをはかっていたところだった。程なく離脱用のヘリが二機を拾いに来たのだが、地理的にも安全面からも着陸するわけにはいかず、ワイヤーロープが下ろされた。
 先にマジックマンが昇っていれば、あるいは惨事は起こらなかったかも知れない。
 しかしワイヤーが降りてきたのはグランドマンの側で、都合上グランドマンが先に昇り始めた。半ば程グランドマンが昇ったところを運悪く、ガードロボの豆鉄砲が数打ちゃ方式で、ワイヤーを掴んだグランドマンの手に的中した。
 そのガードロボの性能から言って、それは、量産全機合わせて今世紀最大のジャストミートと言って良い当たりだった筈だ。要するにラッキーだった。
 そしてマジックマンには非常にアンラッキーだった。グランドマンがワイヤーから手を滑らせたのだ。
 さるかに合戦の臼もかくや、という完璧な体勢で、マジックマンは下敷きにされた。
 状況を簡単に説明したい。砂の上に伸びた細長い棒の中央に、石を置いて上からプレス。
 他人事だったらもの凄く面白かったのに、と思う程度の余裕はあった。いや、全く避ける余裕がなかった所為で、マジックマンは潰される一瞬にそんなことを考えていた。
 KGNいちでかい機体が、自由落下の重力をつけたまま落ちてきたのだ。結果はさもありなん。
 「みし」とか「めち」とかいう可愛い音はしなかった。
 正直、マジックマンが聞いたのは、「ビシリ」という自分の装甲がへこみ、ひび割れる音であり、あるいは「ご」という骨格がたわみ、歪んで、恐らく折れる音だった。
 腰部からの圧力と破壊を受け、全身を駆けめぐった激痛の信号にマジックマンは悶絶し、身動きの取れないマジックマンをどうすることも出来ない――思いつかなかったグランドマンは、周囲のガードロボを一掃するしかなかった。一時的に周囲の安全をとり、ワイヤーが必要ない距離までヘリが降りたところでマジックマンを担いで乗り込むと、きりのない増援がやってくる前に、ようやく退散ができたのである。

「見事な落ちっぷりでしたねえ…」
 どこか虚ろな視線で語るマジックマンは、次の作戦が楽しみですねえと薄暗く笑った。その顔を見て、根に持つタイプなのかと納得しながら、「で、」バーナーマンは疑問を口にする。
「なんで寝てンだ?」
「下が砂地とはいえ、グランドに敷かれて無事な訳がないでしょう」
「折れてんのか?」
「さあどうですか…ひびが言ってるのは確かでしょうが」
 バーナーマンの純粋な疑問に対して、マジックマンは呆れたように目を細めた。しかし、バーナーマンが言っているのはそういうことではなく、何故寝たままか、と言うことだった。
「ていうかお前、いつも自分で直してんだろ。直さねーのかよ」
 手先が器用なこともあって、マジックマンは簡単な整備や修理は自分で行う。キングの手を煩わせるまでもない、というの姿勢から来るもので、請われれば、他機を整備するキングのアシスタントを務めることも可能だ。しかし、そうはいっても、施術には限界がある。
「直せるならね。私が出来るのは簡単なやつですよ。流石に、骨格までは」
 私ではどうにもなりませんねえと苦笑いする。
 キングが戻るのは少なくとも明日以降だ。それまでは大人しくしているつもりだとマジックマンは言った。その乱れた排気に滲む、普段の機体温と開きのある熱量からいって、見た目以上に損傷は重いらしい。随分と辛そうに排気を続けるマジックマンを見て、バーナーマンは「なあ」、思わず口を開いた。
「そんな痛ェならセンサー切っちまえば」
 作戦任務中や外でならともかく、基地内の、それもメンテナンス室で痛みに耐える理由が、バーナーマンには思いつかなかった。いくら痛覚センサーが外部刺激や破損箇所を知る上で重要な情報で、下手に切れば命取りになりかねないとはいってもだ。
 バーナーマンの質問は、彼にしては、至極もっともであったといえる。心底不思議そうな視線を注がれて、マジックマンは居心地悪げに視線をうろつかせた。
「だろ?」
 マジックマンは天井の隅から壁を伝って床へ落とした視線を、じりじりと移動させる。言い淀むマジックマンに焦れて、バーナーマンがもう一度念を押せば、マジックマンは彼にしては珍しく、歯切れの悪い調子で口を開いた。
「………センサーを切るとして」
「ああ」
「腕や足なら一本で済みますが」
 右腕が駄目なら、手指の、或いは肘から下、肩から下の痛覚センサーが情報を処理する回路を止めればいい。センサーを切っただけならまだ動かすことは可能であり、痛みの情報が行動に支障を来す場合はそれが推奨されている。
 ただし、痛覚と触覚のセンサーは密接に関与しあっており、痛覚を完全に遮断するためには、触覚センサーもほぼ遮断されることになる。バーナーマンは一度足のセンサーを切ったことがあるが、動くのに感覚の無い脚部は妙に勝手が悪く、調子が掴めるまで、随分と転んだ記憶があった。
「…腰は体の真ん中にありますからね」
「腰なんかイわしたことねーから分かんね。そんなもんか?」
「それはすてきだ。大事になさい」
 からかうように笑って、マジックマンは指先をヒラヒラと動かして見せた。
「手指と違って、末梢部じゃないから切り落とせないんですよ。中心にあるでしょう。支柱が――せぼね、で、いいんですかね、首まで伸びてるでしょう。変になってるのは腰部で間違いないんですが、そこからせぼねも一緒に歪んでるもんで、腰部周辺の痛覚を切っても、結局歪みは全身に回るのであまり意味がない」
 それこそ、呟くマジックマンの指先から、次から次へとカードが現れては零れ落ちて床に積もる。手癖で初歩的なマジックを繰る指先が、心なしかぎこちない気がするのは、恐らくバーナーマンの気のせいでは無かった。
「それこそ、全身のセンサーを切らないと痛覚遮断は不十分でしょうね」
 それにはすこし、抵抗があるのだと言い、マジックマンは怠そうに片手を振る。
「ま、そんな厄介なことするくらいなら、我慢できない程でもないですし」
 バーナーマンが知る限り、マジックマンは最も繊細で器用な指先を持つ機体だ。
 彼の手指の感覚が、自身の意識と離れることをマジックマンが、どうやら、恐れているらしいのは、あほだばかだ空気を読めとKGN内で散々言われてきたバーナーマンにも容易に知れた。さっきから馬鹿みたいに手先が落ち尽きなく動いているせいで、カードや花やボールがほろほろと溢れては積もっていく。
 何をびくついているのか、ばかばかしい。
 まるで手足を失ったら二度とは戻ってこない人間の様だ。
 機能や実装だけではなく、大部分を経験値と訓練で培った技能だと話していた気もするが、それでも、ヒトとは違う。そもそも、以前に両腕を肩から完全に切断されたこともあると聞いた。せぼね、と、その手指の駆動系が繋がっているからと言って、いまさら何を怯えるのか、バーナーマンには理解できなかった。
 むしろ、身のこなしがものを言う戦闘スタイルのマジックマンは、移動能力の低下を恐れるべきだと思うのだ。
 動けなくなることを恐れて動かないのは、結局同じだ。動いてない。

「俺なら全部切るけどな」
 その手指の感覚が無く、振り下ろす腕が敵機だけでなく己をも砕くとしても、動き続けるために必要ならば、バーナーマンは絶対にそうする。
 きっぱりと言い切ったバーナーマンを見て、目元だけでゆるく、マジックマンは笑った。
「あなたならそうするでしょうね」
 それがどういう意味であるのか、ただ単純に額面通りバーナーマンは拾う。自分ならばそうするはず、それはバーナーマンにとって何ら不思議のない仮定行動で、マジックマンの言葉に追求をすることはなかった。
 話は終わったとばかりに、それきりマジックマンは目と口を閉ざしてしまった。
 眠ったわけも無かろうが、既に話をする気のない後頭部を眺めてから、バーナーマンはマジックマンの指先へ視線を向かわせる。
 少しばかり余裕を欠いたマジックマンの様子は、バーナーマンをも落ちつかなくさせたが、何を言うかもするかも思いつかず、ただ何となく、バーナーマンはマジックマンがしかめ面でカードを撒き散らすのを眺めていた。

 

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