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オーストリッチクラブ
今日の会話
「前々から気付いては居たんだけど」
「うん？」
「うちの受けはしょっちゅう踏まれてないか」
「……ごめん否定できない」
して。
そこはして。力強く否定して。うそでもいいから。
本日の小話は企画作成過程において、
「いかん話が脱線した挙げ句終わってしまう」
という理由で没になった部分のリサイクルです。
拍手をありがとうございました！
地上五階、地下三階の研究施設は、海沿いの丘陵地帯に、へばりつくように建っていた。
その昔、ドクターワイリーが別名義で開発した強化繊維の加工技術を取り扱っているところだったという。そこそこの研究成果を上げていた研究所は、幾つかあるＤＷＮの資金源の一つであったが、別の研究所で新素材の繊維強化プラスチックが目出度く完成した折り、頃合いと見て手放したものだ。
新素材への移行と対応で手間取り、経営陣の手腕に見切りをつけたのは金にシビアなバブルマンだったと聞くが、その後、ほそぼそと研究所が全盛期の四分の一にまで規模を縮小したところから見て、その判断は的確だったといえる。 加工技術の研究はそのままに、多方面の分野に手を出しながら細々と続いていたらしい研究所は、最近になって急に、不穏な噂をばらまいている。
いわく、「ＤＷＮ量産工場」だとかなんとかだ。
その噂を最初に拾ってきたのはエアーマンだったが、それはあくまでも笑い話、として提供されたものだった。事実、ドクターワイリーはと言えば「出来るモンならやってみせい」と鼻で笑い飛ばしてお終いにしてしまったし、ひとしきり笑い転げたバブルマンは、エアーマンと「どっから金が出てるんだ」ということで盛り上がりを見せていた。
だから、フラッシュマンとしてもその話を二人の兄にしたのは、馬鹿が居るぜという意味に過ぎなかったのだ。
「不愉快な話だな」
思ったより低い声で、眉を顰めたのはクイックマンだった。表面上、彼は笑顔であることが多いが、口を真っ直ぐに引き絞っただけで、酷く真面目な顔に見える。
アレ、ナニ、怒ってんの、なんで、とフラッシュマンが笑い混じりで口を開くより先に、かちかち、と隣で音が響いた。クラッシュマンがじいっと宙を見つめたまま、両腕のスイッチをオンオフさせている。
ぎょっとしたフラッシュマンを余所に、クイックマンの方を見たクラッシュマンは腕を肩まで上げ、無言でドリルを低速で回して見せた。しばらく、と言っても五秒程だが、無言でお互いを見ていた二人の兄は、同じタイミングでフンと鼻を鳴らす。
「あー、そういえば俺基地の修理し、――ウッ」
嫌な空気にフラッシュマンがもそもそと呟きながら立ち上がろうとすると、どしりと膝に重みを感じた。
隣に座っていたクラッシュマンが、腿の上に両足を載せた上から、更にクイックマンの足で踏まれている。
「お、おもたいクラッ」
「ちょっと待ってろ」
「重たい！！ クイック！」
喚くフラッシュマンを無視して、立ち上がろうとする肩を押さえながら、クイックマンは携帯コンソールを弄り回している。
「ナニやってんだよ」
「衛星マップグルグル」
訝るフラッシュマンの前で、意外と器用にネットを使いこなしてみせた兄は、位置情報を二人に転送してからパチンとコンソールを閉じて足を退けた。ようやく足を退けたことにほっとしたのもつかの間、二の腕を掴まれて今度は無理矢理に立ち上がらされると、一瞬足の先が浮く程の力で引っ張られる。
「なに！ なんだよ！」
「お前も一緒に行くんだよ」
「今から！ どこに！ 何しに！」
「なぐりに」
*****
わたしはちょっと某曲をネタに使いすぎだと思う（前にも使った記憶がある）
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